奄美大島

テレビ東京で隔週の水曜日のゴールデンタイムに放送中のカラオケバトルという番組をご存じだろうか?
採点式のカラオケでその点数を競おうとする趣旨の番組なのだが、出演者がプロやアマチュア、オペラからアイドルと多岐にわたり、ごっちゃまぜの出演者が歌のうまさや優劣でなく、採点式のカラオケの点数のみで対決するのだ。

ここが重要で、歌がうまくて聴く人を感動させるような歌を歌った人が優勝なのではなく、機械採点のみというところが逆に、いろんな人が、権威ある学校出身者や何かしらの賞をもらった人などでも参加しやすいという理由と言える。歌唱力の優劣を競っているわけではないのだ。
ようするに観客ウケするよりも機械ウケすれば勝ちだと言えるのだが、採点式のカラオケが出た当時のように、機械を攻略する方法を考えて歌うような人はいない。ただ、弱く歌うべきところもしっかりと歌ったり、タメ気味に歌うべきところもオンタイムでリズムに乗って歌ったりする傾向はあることにはあるように感じるが、それほど引っかかるほどではない。
今の出演者はみんなうまい。

採点式のカラオケで高得点が出るような歌い方は人の心に響かないとかいうようなことを、昔の現代に警鐘を鳴らすタイプの映画によくある機械文明を否定するかのごとく言っている人もいるが、この番組に出ている人たちは、採点式カラオケで高得点をだし、しかもうまいし感動するのである。
その出演者のなかでも、採点式のカラオケだということを全く意識させずに、自分の歌いたい歌を自由に表現して、しかもうまいし、さらに心を刺さる歌い手がいる。

それが城南海(きずきみなみ)さんだ。

城南海(きずきみなみ)という奄美の歌い手

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城南海(杵築南というふうに変換しちゃうことが多いみたい)さんは、奄美大島の出身でシマ唄の歌い手だ。
「歌い手」いうとニコニコ動画のアレみたいな感じになるので嫌なんだけど、歌手というと古い気がするしボーカルって感じじゃないので、歌い手という表記にしようと思う。(どうでもいいが)
グインという奄美特有のこぶしを効かせた歌い方をする。グインという歌唱法は、普通の音階とファルセットを行ったり来たりのビブラートをさせて歌うようで、これが採点式のカラオケの加点要素になっていて有利だというような人もいるようだが、最近は少し変わってきているように思う。変わってきたというよりもそうでないことがわかってきたような。そこだけがんばれば高得点が出るわけではないようだ。

オフィシャルサイトからのものだが、ちなみにこれは100点を出したときのものだ。

このような歌い方を聴くと、沖縄のことを連想する人もいるだろうが、沖縄の音楽と奄美のシマ唄は全く違うという。音楽的にも違うしそのメンタリティーもあまり似ていないようだ。奄美のほうが控えめなのらしい。
奄美出身の「花」当歌で有名な中孝介さんがそのようなことをインタビューで言っていた。
この奄美大島のグインという歌唱法を有名にした人に「ワダツミの木」でスマッシュヒットを飛ばした元ちとせさんがいる。

城南海さんが中村中さんの「友達の詩」を歌う

彼女はカラオケバトルという番組で10回ほど優勝している。
初代のチャンピオンだと言ってもいいと思う。
出演者のキャラが立っていて面白い時期だ。たとえるならば、凸凹していたAKBのブレイク当時のメンバーのようにみんな特徴があって面白い。
彼女の歌声は、youtubeのカラオケバトルのオフィシャルページで見ることができるが、なかでも一番心に刺さったのは中村中の「友達の詩」を歌った先日の放送だ。これは圧巻だった。
訳が分からなくなるくらい良かった。

中村中さんはトランスジェンダー(でいいんだろうか?)で、「友達の詩」はその切ない恋心を歌ったものであるが、その「切ない恋心」というように簡単に書いてしまったが、そんな言葉で表してはいけないような気持を切々と綴った歌なのだ。
この歌を城南海さんは見事に歌い切ったし、歌の意味を伝えることに成功したと思う。
特に、サビに入るところは圧巻で神々しさを覚えた。奄美のシマ唄って、祭事で歌われて、神様との懸け橋というような意味もあったんだろうなということが、あの歌を聴いて簡単に想像できたしすぐに理解できたほどだった。

どんなに心に刺さる歌唱でも点数で負けてしまうカラオケバトルという番組

この歌を歌った時はもちろんカラオケバトルのバトルだったのだが、こんなに素晴らしい歌を聴かせてくれてありがとうと感謝できるような歌唱が、点数で負けてしまったのは、この番組の面白いところなんだろうと思う。

こうやって負けてしまっても、彼女は点数の出るだろう歌い方に自分の歌い方を変えないだろうし、自分の感情の赴くままに歌を表現するのだろう。
たぶん、そんな歌い方はできないのだろうと思うしそれは歌ではないと思っているのではないか。

とにかく、次回の彼女の出演が楽しみだし、どのような曲を選んで歌うのかも楽しみでならない。
カラオケバトルという番組は年末の紅白歌合戦よりも全体的な歌唱力は高いような気がする(笑)

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ちなみにわたしは宮本美季さんも好きなのだ。
カラオケバトル公式の6月24日のライブにチケットを申し込んだが、城南海さんも宮本美季さんもまだ出演が決まっていないようだ。
U-18の四天王と言われる4人が新たに付け加えられたようだけど。

ちょっとどうにかしてほしい(笑)

生で一度きいてみたいと思える歌声なのだ。