ボクサー

自分が少年マガジンと出会ったというか、毎週楽しみにして読みだしたのは、「バリバリ伝説」という漫画にハマりまくってしまったのがきっかけになると思う。
「バリバリ伝説」はしげの秀一さんが描くバイク漫画で、とにかくバイクの描写がカッコよく、レースのバトルシーンは見ごたえがあった。
当時は空前のバイクブームということもあり、そういう社会的な空気感もあってか、かなりの盛り上がりを見せていたと思う。

そのころから、空白の期間もあったが、マガジンは読み続けていた。

その前も、マガジンに限らず少年誌は断片的に読んでいた。
自分で購入することはなく、隣の家の父親が鉄道の終点の駅に勤めており、それも大きな駅だったものだから、網棚などに放置されてしまった雑誌などがいくらでもあり、何冊か家に持って帰ってきていたものをもらったりして読んでいたのだ。

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その頃からマガジンを読んではいるが、今回話題になっている「はじめの一歩」のような、なんともいえないような残念な展開になった漫画はあっただろうか、と考えるに、やっぱりなかったということに気付く。

とにかく、これほど長く続いた漫画はそれほど多くない。連載が始まったのが1989年だというから、30年弱の年月がたっている。
それもマガジンでは一線級の人気を博してきた漫画なのである。

それだけの年月の間、続けてきたならばいろいろな年代のファンがいると思うが、私のような連載当初のことをうろ覚えながら知っているという人も多いだろう。当時はマガジンもかなり人気があったように思う。一時期売り上げでジャンプを抜いたことあるけど、それはこの頃かはちょっとわからない。たしか、ドラゴンボールとかスラムダンクとかが終わったころなんじゃなかったかと思うけど。

まぁ、そういうことはいいとして・・・



「はじめの一歩」の主人公、幕ノ内一歩は気の弱い実直なまじめな少年であり、それが、あることがきっかけでボクシングと出会う。確か鷹村との出会いだった思うけど。大きな木の下で、落ちてくる木の葉をシャドーボクシングをしながらつかむ練習をした人も多いのではないだろうか?

その性格がゆえに、まじめに努力して練習して強くなっていくのだが、その努力と練習は自身の体を壊すまで続けられた、ということになる。
まじめな一途な性格が災いしてパンチドランカーになってしまった、ということにもなるというのが何とも言えないような、モヤモヤしたものが胸に残ってしまうような感じでやりきれない。

同じボクシング漫画でパンチドランカーといえば、これも少年マガジンで連載されていたようだが「あしたのジョー」がある。
しかし、ジョーは真っ白な灰になるまで闘い、燃え尽きた。生と死を超えた、「燃え尽きた」という表現には美学が感じられ、名ラストシーンとして後世に語り続けれらることになる。今でもパロディーでこの表現が用いられているのを見かける。

一方、「はじめの一歩」にはこのような美学は感じられず、ただもうあまり見たくないといったように思う人も、ネットなどを見ていると少なくないようだ。

いや、まだ終わっていない。
物語は続いているのである。どのようなエンディングになるのかはわからない。



あそこまで描いておいて「夢でした」という展開は無理なので、もうパンチドランカーであることは確定なのだろう。
手術して治ったりとかいうのはありえないだろうから、本当にこれからどうなっていくのか、どういうふうに物語を続けていくのか、全く想像できない。
しかも、今の段階で、メインイベントに鷹村の試合もあるっていうのに・・・

30年弱も続けてきて、その結果がバッドエンドというのが、やるせない気持ちになる一番の理由なのだろう。
いい意味でのワクワクするような期待感とは全く別のベクトルの期待感があることはあるので、やっぱり気になるのだが。
少年誌だからとか、そういうわけでもないけど、この展開はつらい。

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