ギター

一昔流行った言葉で今も使われている言葉のなかに「エモい」という言葉がある。
確か音楽業界発の言葉だったと思うが、意味とすればエモーショナルなという意味で、感情のこもったという意味の今風の表現だと言える。語源とすればキモいとかそんな言葉の変化と同じだと思う。

なんでこんな言葉が音楽業界で流行ったかと考えるに、最近の音楽はEDM(エレクトロダンスミュージック)をはじめ、デジタルなパソコン一台でできるような音楽が主流で、感情とかを表現するような、例えば悲しみとか喜びとかを表現するようなものとは違って、ただ単にノリの良いダンスをするための音楽が主流となってきたという時代背景があると思う。感情を表わすような音楽は下火になってきたというか、そのような感情を表すことはダサいとされ、無機的であることがクールでカッコいいというような風潮さえあった。

そういうなかでギターという楽器もEDMの世界ではダサいというか人気が無くなっていったような感じがある。なぜかというとそれは簡単である。ギターという楽器は楽器の中でもトップクラスにエモーショナルな楽器なのだから。70年代の音楽とか聞いてみるとわかりやすいと思う。とにかくギターがエモいしエロい。

最近の音楽業界に、そのエモいという言葉がちょっと流行ったということは、エモーショナルな音楽が再び現れて人々の心に残っているんだと思う。
ということは人々はエモーショナルな何かを欲しているんじゃないかと感じる。



BABYMETALというバンドがあって、フロントは三人のエリートアイドル、バックのミュージシャンはプロの凄腕の人たちという選び抜かれた人たちのバンドがある。運よく東京ドームのライブを見ることができたのだが、何がすごいってその腕前もさることながら、とにかく感じたある種の「熱さ」だった。
引くことのない津波のような音圧でグイグイと迫ってくるそのサウンドに終始押されっぱなしだったし、東京ドームは近隣との関係であまり爆音は出せないと聞いていたのだが、そんな感じは全く受けなかったくらいに五感に刺さりまくったように感じた。
もちろんプロはお金の為に生活の為に演奏しているのだが、それを超えた熱さがしっかりと伝わってきたし、こんなライブは久しぶりだと思ったくらいだ。

BABYMETALが生演奏だから生歌だから熱いのか、というと必ずしもそうではないと思う。
Perfumeはライブでは一部生歌一部リップシンクという形をとっているし、演奏もパソコンに打ち込んだデータを流しているにすぎないが、ライブに行って驚くのはその「熱さ」だ。ライブになるとそれはもう肉弾戦の様相を呈してくる。音楽自体はクールなのだが、汗にまみれてステージをこなす彼女たちにその「熱さ」を感じずにはいられない。
ライブハウスくらいの箱で行われるオールスタンディングのライブは観客もまた熱い。実際に暑い(笑)

<スポンサーリンク>

最近、WEB業界ではキュレーションサイトというのが問題になった。
他人のサイトからいいところをパクッてきて、記事をより集めてサイトを形成し、それを大手の企業が主導してやっていたということで、著作権侵害ではないかと非難され、キュレーションで作ったサイトが閉鎖に追い込まれたという問題だ。
DeNAのウェルクというサイトが発端だったのだが、ウェルクが閉鎖されるとリクルートも関係があったキュレーションサイトを閉鎖させているし、その他キュレーションサイト運営にかかわっていた企業もたくさんあるようで、何かしらの対策をしているところだろう。

もうひとつの問題としては2ちゃんねるのまとめサイトというものがある。
巨大匿名掲示板の2ちゃんねるのまとめサイトは私もよく見るし確かに面白い。あの膨大なログを読む時間はないので、簡単にまとめてくれるまとめサイトは重宝すると普通の人は考えるのだが、そのまとめ方に問題があるのだ。
ある思想を持った人やあるところに利益を誘導したい人がその運営をしたら、そのような方向に記事をまとめることは簡単なので、これが偏向報道のようなものになってしまうと考えられる。いわゆるステルスマーケティングになるのだ。
運営がとある人や物の人気を落としたいと思ったら、そのようなスレッドを立てて、自ら非難するような書き込みをたくさん書き込んでいくということもでき、それをまとめるとそのような記事が出来上がってしまう。
おもしろいことに、このようなまとめサイトの動向に一番詳しく鋭いのは2ちゃんねるの住人だったりする。

パクリ問題は法律問題なので言わずもがななんだけど、結局お金に走るとサイト自体の面白みが無くなっていくような気がする。
WEB創世記には、自分の趣味をまとめたサイトや、有益な情報サイトがたくさんあったような気がする。そしてその趣味の人がそこに集まっていて集落を結成していたような。
そしてそこにはその趣味に対する愛があったと思う。その趣味に対する「熱さ」があり愛があって、そのサイトが形成されていたのだと。だからその記事にも愛が溢れていたし熱さを感じて面白かったのだと思う。そういう記事を書いていれば人のコンテンツをリスペクトはするけれど、パクッて書いてやろうとかいうことは思いつかないのではないかと。



2017年のキーワードはこの「愛」や「熱さ」なのではないのかなと思っている。
人々はこのようなことに敏感になるのではないかと。
あのホリエモン氏が世間にあまり受けいられなかったのは、ものに対する「愛」があまり感じられなかったからなのではないかと思う。
例えば、買収する企業への愛だったり、宇宙事業への愛だったり。お金が儲かることも大切だけど、その対象への愛のほうが大切なのだ。
ずっと昔から宇宙事業をやりたい、宇宙パイロットになるのが夢だったけどなれないからせめてロケットを飛ばす事業をやりたいとかすっとインタビューで言っていたらよかったと思う。

戦後の企業家が大成したのも、貧しい日本をどうにかして一流国にしたいとか、お金儲けよりもそういう想いのほうが強かったりしたからなのかなと今になって思ったりするがどうだか。

<スポンサーリンク>