ピアノを習う

仕事で、やり方や方法、コツなどを教える立場になった人ならわかると思うが、教えるとは本当に怖いもので、その人の才能をもしかしたら限定してしまうかもしれない、最初から小さな囲いを作ってしまってその中でのみ生きていくような、つまり才能を檻のようなものに閉じ込めてしまうような行為なのではないかと感じることはないだろうか?

ある時、自分が教えたとおりに、なぞるように仕事をしていた新人さんを見てちょっと怖くなった。あまりにも寸分もたがわず同じ行為だと、自分の教えたことが正解ではないかもしれないとか、間違っていたりしたらどうしよう、みたいな不安な気持ちになるものである。
言われた本人は、言われたようにすることがとりあえずの仕事であり、それが評価の対象なのだから間違いはないだろう。
教える方としては、それがある種の型にはめ込んでしまうような行為であるということを感じ、それが自分の作った枠だとしたら、その人の才能ののびしろまで教える側の自分が決めてしまうような行為ということになるので、それがかなり重荷に感じることもある。

人をプロデュースするとかものを教えるとかいうことは本当に難しいしある種の怖さを秘めているものだと感じる。
人の上に立ったような気がして虚勢を張っているのは、それはただ単に本質に気付いていないのだろう。

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例えば全くその道の才能を磨かれたことのない素人をプロデュースするとしよう。
たぶん、その時には人にものを教える怖さは、あまり感じないのではないかと思う。ということは想いのままのプロデュースができるということだ。
うまくいけばプロデューサーの手柄だし、失敗すればタレント不足だったという言い訳も可能だ。
これの典型だと思えるのがAKBグループで、失敗しても才能を殺してしまったなどと揶揄されることもないだろう。

次に、才能のある人をプロデュースする場合はどうか?その過程で才能を大いに感じてしまった場合などだ。
その他人より秀でたところのみをさらに伸ばすのか、とか、全体の地力を強化していくのかとか、いろいろと悩むことだろうと思う。
誰も未来のことなど分からないし、将来のことなど分からないのがあたりまえだが、才能に見合う未来を周りから期待されてしまう。
こううことからして、プロデューサーは知識や経験が多ければ多いほどいいということで、それなりの年齢に達していたほうがいいような気がするが、若いプロデューサーのアンテナの高さや新しさ、勢いなども経験値の高さと同等の価値があると思う。
どのような状態でも、ある種賭けのような部分が必ず出てくるのは仕方がないところだ。
約束された未来などどこにもない。




今、日本では若い才能がメディアに登場するようになってきた。
サッカー界の久保建英君は、あのスペインの名門バルセロナの下部組織にいたのだが、わかりやすく言えばバルセロナの若過ぎる才能の青田買いが問題となり、バルセロナから一時的に日本のFC東京に籍を置いている。というか移籍してしまった状態になっている。その非凡な才能は16歳にして20以下のワールドカップの日本代表に選ばれるなど、誰もが認めるところなのだが、その才能を日本で埋もれさせてしまってもいいのかという疑問もあることにはある。
将棋界の藤井聡太四段は歴代タイの29連勝という偉業を成し遂げたが、一応杉本昌隆氏の門下生なのだ。師匠がいるのだが、師匠の方も大変だと思う。個人的には初戦の加藤一二三九段に勝った時に将棋の神様みたいな運みたいなものが藤井君に乗り移っていったような感じがする。完全にオカルトなんだけれども。
音楽界では大山琉杏(るあん)さんがいる。
彼女は現在14歳ながらもギターも弾けるしダンスもできるし、歌はうまいししかも英語ペラペラというか帰国子女なのかな?で、その歌声を聴くととにかく才能を感じずにはいられないという女の子なのである。
動画サイトではニューヨークの地下鉄のホームでギターを弾きながら歌うというストリートミュージシャンをしているのもあって、その歌もさることながら、その度胸にも驚かされる。メンタルも出来上がっているのではないか。
洋楽のコピーをやっている動画が結構あるが、これが洋楽コンプレックスを持った日本の大人にも効き目があるのか、とにかく評価が高い。

この状況、日本のプロのミュージシャンでも足が震えると思う。俺ならオシッコもらしてしまうかもしれない(笑)というか声がまともに出ないだろう。



この子はどんなふうにプロデュースされるんだろうか?
まさかカラオケバトルに出たりはないだろうなぁ。番組製作者は呼びたいだろうが。
よくみると小さいころからいろいろマスコミには登場しているようだ。
この海外にもサクッと行っちゃうようなスタイルは、BABYMETALにも通じていて現代っ子だと感じる。歌うまキッズなんて呼ばれ方はやめてほしい。よくないレッテル貼りという感じを受けるから。

とにかくこの子をプロデュースしたいという人は時代が時代だけに難しい仕事になるということを覚悟しなければならないだろう。
誰にも経験がない作業になると思う。
アミューズの株主総会でも言われていたようだけど、BABYMETALもまた、誰も経験したことない道を歩んでいるので会社としても四苦八苦しているのだとか。
このように考えると、優れた才能を世に出すには優れたプロデューサーが必要になってくるわけで、今まで大御所だとされていたプロデューサーもただの老害になる可能性も大いにあるし、違った場所、ジャンルから優れたプロデューサーが生まれる可能性もある。

すべてはこのネット時代だから言えることではあるが。
ただ、やっぱり成功するか否かは誰にもわからないし、それはやっぱりギャンブルになってしまうのだろう。

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