高速道路の満月

以前、工場の改修工事の一部を請け負うことになり群馬県まで行っていたことがあります。アパートを借りて何日か住み込んだりして、なかなか楽しい思い出になりました。
そこの行き帰りはもちろん高速道路を使うのですが、だいたい2時間半くらいあれば家から現地まで行くことができます。高速を走るのは嫌いじゃないので、それも体力を使いながらも楽しかったのを思い出します。

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高速道路は特に湾岸線を走るのが好きで、夕方、だんだん暗くなっていく空を見ながら、そして夜景を楽しみながら運転をするのがいいですね。一日が今日も無事に終わったという安堵感もあるし、仕事を終えた達成感もあります。主に高速を使うのは上京する時なのでなるべく早く出て道が混む前にある程度現地に近づいておくほうがイライラしなくていいと思います。

高速や有料道路などは、なぜか右車線のほうが早いとか、左車線はこの先合流で詰まってくるとかのちょっとした情報を覚えてくると、少しづつスムーズに走れるようになる感じです。それはもう経験ですね。これはナビにも載っていない情報なので経験で獲得していくほかはないでしょう。ETCや料金所のときの不思議な車の流れとかが分かってくると少し楽しくなります。

同僚とその現地から二人で帰っているときでした。話はやっぱり会社のこと、仕事のこと、愚痴なんかになりますね。東北道から川口を過ぎ、環状線に乗り込んで荒川沿いの首都高を右手にスカイツリーを見ながら運転していました。川を隔てた向こうのビル群の赤い点滅している光が、なんだか風の谷のナウシカのオウムのように思えてきて、ハッとしたりしていました。宮崎監督はオウムにビルの群れみたいなものを重ねていたんじゃないだろうか、なんて思いを巡らしながら、同僚の話にも軽く頷き、あまりちゃんとは聞いていなかったと思います。

そうして葛西の湾岸線に合流する地点にさしかかる少し前でしょうか、高速道路が少しうねった感じに曲がるその向こうに大きな満月が見えてきました。明らかに普通より大きく見えるその満月はとても美しくて、思わず声を上げてしまうくらいでした。
「おぉ、綺麗な満月だね~」と私は同僚に声をかけると同僚はあまり気にも留めない様子で淡々と話しの続きを放していました。なんでそんな反応かわからなかったくらいなのですが、たぶん興味のないことなのだからでしょう。ちょっと感覚が違うようでした。これは仕方のないことです。でも残念でした。

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その人とは、同じシチュエーションで綺麗な夕日に遭遇したこともありますが、そのときにもあまりいいリアクションはなかったことを思い出しました。お互いに田舎育ちなので、そんなことは経験してきたことだから珍しくないのかなとも思いましたが、そしたらそんなことで騒いでいる私って?ってことになりますね(笑)

こういうのって、馬が合う合わないっていうんですかね、その判断材料になりますね。
でもちょっと寂しい感じがしますね。

いい景色に出会う確率はそれほどあるわけではないと思うので、人生において大切な時間だと思うんです。
そして心を開いていないとそういう景色をきれいだとは思えないだろうし、見つけることはできないとも思えます。
空を見ていないと綺麗な空は見つけられないと思うんです。