お洒落なリフォームと昔の大工さんの仕事と。

今ではリフォームと言わずリノベーションとか言っていますね。リノベーションとは語感としてですが、既存の間取りをすべて取っ払って設計しなおしたような劇的な変化をもたらすようなリフォーム形態だと思っていますが、たぶん当たっていると思います。
リフォームとは、ただ単に壁紙を新しくしたり床を張り替えたりとかの既存のものを新しくするような工事ということなんでしょう。

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リノベーションという言葉が躍るホームページを持つ会社の仕事をしたことがあります。結局その物件は施工例として会社のホームページに掲載されています。お洒落な部屋とかお洒落な物件と普通の人が思い描くような、そのままのものを体現したような仕事をする会社だなと思いました。

実際私が担当した物件もまさにそのようなリノベーションの現場でした。
壁の白い色がなんだか地中海のギリシャあたりの白い建物群を思わす感じで、オーナー様の意向なんでしょうか、尋ねてみるとやっぱりそっちのほうを意識しているような感じでした。

こういう明確な指向を持っていらっしゃるオーナー様は綿密な打ち合わせをしないと、いろいろとあとあと変更が多くて大変ですね。でも仕上がりは大変よく、オーナー様も喜んでおられましたし、施工管理に当たった監督さんも満足そうでした。

そういう現場ではやはりこっちもテンションが上がります。
ワックスは艶なしでないと雰囲気が損なわれるようでしたので艶なしで掛けましたし、いろいろと監督に対してこちらから提案していきました。
お洒落な物件に携われたという満足感がどこかにやっぱりあるんですね。

一方、30年前くらいに建てられた一軒の大きなお家のちょっとした掃除に行った時のことです。
昔の一軒家っていうのはほとんど大工さんが主体で工事したものが多いですし、今でもそうだと思います。
その大工さんというのが、一人の技巧派の大工さん一人の仕事だというので驚いて話を聴きました。庭にあった欅の枯れた幹でオブジェを作っており、それはその大工さんの作品だということでした。品のいい竹垣もそうでしたし、とにかく「いい仕事してますね~」と鑑定団の中嶋さんならおっしゃいそうな仕事ばかりでした。

一番びっくりしたのは、その大工さんの仕事ではなかったのですが、二階へと通じる階段の手すりの木製の柵がとあるこけし職人が作ったものだと知った時でした。手すりも微妙なカーブが美しい感じで、そういえば手すりの柵の一本一本が太くなったり細くなったりしていて、その微妙な太さの変化が、こけしの胴体のカーブに見えてきました。その柵の一本一本がずらっと並ぶ姿はとても美しいんです。
そういう一見わかりにくいところにお金と技術をかけるのも粋だなと思いました。

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昔の仕事っていうのは、技巧からくる美しさを売りにしていたような気がします。それに対して、今のリノベーションはデザインからくる美しさを売りにしているような漠然としたイメージがあります。
どちらも住む人を気分よく幸せにするためにあるものなので、どちらが良いとか悪いとかはもちろんありません。

すべては住む人のためにです。
お掃除もね!