小学校のプールにおいて、消毒用の次亜塩素酸ナトリウムを入れるべきところに酸性のポリ塩化アルミニウムを誤って投入したところ、塩素ガスが発生し、このガスを吸ってしまった職員が吐き気やめまい、手足のしびれなどを訴えて病院に運ばれた事件が起こったが、命には別状はなかったという。
運ばれた三人の職員のうち一人は異変に気付いて駆けつけた職員だというから、やはり二次的にも危ない事故だったように思う。周囲の民家にも周知させ、外部には何も被害は出なかったようだ。
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私は、スイミングスクールのプールの新築工事に携わったことがある。完成して何年かたった後に点検に同行した時のことだが、プールは室内の温水プールで、内部はものすごい湿度とプールの水の消毒臭、つまりキッチンハイターでおなじみのあの次亜塩素酸の臭いが立ち込めていてむせ返るほどだった。
私が子供の頃はこんなに臭くなかったと思ったが、ここは温水プールで雑菌が繁殖しやすい温度であるし、温度湿度が高い分だけ鼻につくのかなと考えたが、少し温室の中にいると慣れてくるような感じもあった。
なんで私が同行したかというと、ステンレスのサビが気になるという。錆びるのは当たり前だろう。この湿度と塩素の塩分を考えると、湿度の高い常夏の海辺に近いところにあるステンレスやガードレールや鉄みたいなもので、絶対に錆びるであろうという環境が整いすぎている。何も手入れ等しないならサビはどんどんステンレスを侵食していくだろう。
幸い、まだ築年数が浅いこともあってそれほどサビも深くは侵食していなかったので、軽く磨けば綺麗になった。ただ、またこのままにしているとサビからは逃げられないだろう。どうかメンテナスしてほしいと思った次第だ。
実はこのとき、サビをクリーニングするのにいつも使っている酸性の洗剤を考えたのだがすぐに思いとどまった。よく考えると、いや、考えなくてもこの塩素臭である。酸を使えば大事故につながってしまうかもしれない。ただ、ぼーっとしていたり「酸を使ったほうが早いやー」なんてスピード優先の考えでいたりすると危険かもしれない。
後で考えても、このときはきちんと判断できてよかったと胸をなでおろすことしばしばだ。
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ここで使われたポリ塩化ナトリウムはプールの水の浄化剤だということで、次亜塩素酸ナトリウムの消毒作用とポリ塩化ナトリウムの浄化作用を間違えてしまったのだろう。消毒と浄化、と書けばなんだか似ているような気がしないでもない。だけどその元になる物質は、「混ぜるな危険」の代表的な組み合わせだったということだろう。
とりあえず無事でよかったが、新しい社員が入ってきたときなど、徹底して周知させてほしいと思った事件だった。