星空

夜空に満天の星空なんて歌にもたくさん出てくるし、映画にもアニメにもいろいろな作品に出てくる使い古されたシチュエーションだということは、みんな知っていることだし、「なんだ、またか」とか「あ~あ、これね」みたいなどっかで見たことある的な、感想を持つのも仕方ないと思う。
しかし、それが登場人物の心情とか心の変化とも合わさって、情報の受け手を攻撃してくるなら、かなりの破壊力を持って心を揺さぶってくるのだなと改めて思った。
この情報にあふれてちょっと調べれば何でも一応は知ることができるような世の中で、「自分の所有物はこれだけ、これだけのものが私の世界」というような告白も伴ってか、久々にひどく感動してしまった。
この世界にはいろいろな物語があり、一生のうちでどれだけの物語に出会うかが勝負だ、みたいなことをよく思うのだが、この物語を見てその思いを強くした感がある。

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化物語は2009年にアニメ化されたようで、なんと10年弱の月日を経て私はこれを見たことになる。
きっかけというのは、少年マガジンに化物語が連載を開始したからなのだ。しかも絵はあの大暮維人さんではないか。大暮維人さんといえば、同少年マガジンでエア・ギアという漫画を連載されていて、かなりお気に入りだったのだ。
とにかく絵というか線がきれいで、なんでこんなにきれいな線をかけるんだろう?なんて思ってたものだ。最後はストーリーが大きくなりすぎて、あれ?、なんて思っていたけれど(笑)
描く人物も好きだったので注目していた。
化物語自体はあまり知らなかったが、ツイッターなんかを見てると神コラボなんて言われているようで、そうなってくると急に原作のほうにも興味がわいてきて、短期間でアニメのほうだけどすべて見てしまったのだった。

西尾維新×大暮維人の神コラボだが、これからの連載でどのようになっていくかが楽しみだ。今の時点ではほぼ原作アニメに忠実だと思う。
一方では、なんで今更コミカライズするの?という疑問もあるのだが、私のような今回初めて化物語という物語に遭遇し、感動して、何か文章に書いてみようと思う輩もいるということなので、それは全く無駄ではないと思う。
アニメを見てファンになった人には、アニメへの思い入れが強すぎて、今回の漫画化には反対の人もいると思うのだが、あまり反対の声を聞かない。実写化にはイメージについて行けないものも多く、多くの人が失望することも多いのだが、当たり前の話だが今回にはそれがない。
ちなみに小説からアニメ、そして今回の漫画(コミック)という流れのようだ。



2009年、10年くらい前と言えば、世の中のオタクと言われる文化の中に「ツンデレ」という言葉が流行っていたと思う。この物語のヒロイン、戦場ヶ原ひたぎはまさにツンデレだ。
物語は、おしゃれな現代版の鬼太郎みたいな感じといいっていいのだろうか、社会風刺的な要素はないが、主人公の阿良々木暦(あららぎ こよみ)の髪形やアホ毛が動くところなんかは妖気アンテナを思い起こさせる。
見ていくととにかく会話が多いことに気付く。ワンシーンでずっと会話が続くことも珍しくない。その12話は車の中での主人公とひたぎとの会話、車の中での主人公とひたぎの父親との会話、森の中での主人公とひたぎとの会話というふうに3部に分かれているような印象だ。

会話の内容はといえば、漫才のようで、阿良々木暦がいつも的確に突っ込む(ボケとツッコミという意味で)リズムよく展開していくのだが、12話の星空の下では、それが恋人同士の会話に変わっていく。
それは、ひたぎの独白から始まるのだが・・・
と、まぁ、見ていない人もいるかもしれないので(もういないか(笑))これくらいにしておくが、少年マガジン版の第二話で、阿良々木暦が素直に自分の過去を話して涙するひたぎを見て不謹慎だけど綺麗だと思うシーンがあったが、この12話のこのシーンへの布石なのだろうと思う。

そして、エンディングテーマ「君の知らない物語」歌:supercell が流れるのだが、これもちゃんといわゆる仕込まれている感じでホント憎い演出なのだ。
私自体、それほどアニメをたくさん見ていたわけではないし、オタク文化に詳しいわけでもない。
しかし、この化物語の12話は美しすぎて、見れば見るほど感動してしまう。
主人公が目を開けた時、ひたぎが話し始めると、だんだんとこの状況を理解し始めるにしたがって心の中でいろいろなことが思い起こされるのだろうかどうかはわからないが、ひたぎの声が小さくなっていくという描写があるが、これはかなりリアルだ。
もし、いろいろなことが思い起こされるのならば、それは第一話からの積み重ねでもあるので、これから見るつもりの人は第一話から見ることをお勧めする。



第一話から見ていくとわかるが、オープニングの曲やMVがいろいろと変わっていたりする。これもなかなかいい。
化物語という作品に出会う前から、鼻そうめんP(プロデューサー)という多才な人がリミックスした「恋愛サーキュレーション」という曲を好んで聞いていたが、ここで原作に出会い、点と点が結びついた感じがした。

化物語について興味を持ち、いろいろと調べてしまったのだが、他にも傷物語とか偽物語とか物語シリーズがいろいろあって得した気分になった。
これらもどうにかして見てみようと思っている。

はっきり言ってハリウッド映画よりも面白いかもしれない。

(すべて敬称略)

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